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ワイヤーアートのロータスフィート
 

 

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ケトベツファーム ストーリー

第5部

 

このはなしは事実に基づいて書かれても、いる

 

  ファイティング・チキン・ジョージの話
 この農場には、牛、豚、羊、ニワトリ等の家畜が人間と一所にいる。
此処のオン鳥も中々手強い、ギラギラ光る鋭い眼光は、恐ろしくて不気味である。
ボクなんか、此処の人間の中で一番小さいので、完全に威圧されていた。
ギンギラギンの派手なニワトリ、動くたびにゆれる赤いトサカと肉垂れ。
それに、このオン鳥は、情け容赦の無いファイターであった。
線路の向こう、暗い森に住んでいるチキンイーターの狐を、追い払った伝説のオン鳥だ。
こいつの名前は、たとえばチキン・ジョージにしよう。
 ジュージは、生まれながらのファイターだった。
空中からの鋭い爪のドロップキックと、キレのいいクチバシ攻撃の連続ワザ、こいつを食らって、デカイ面してこのケトベツを偉そうにのし歩くニワトリは居ない。
彼も又、この強さゆえ悲惨な最後を遂げるのである。
 ここいらのニワトリは、昔からの放し飼いだった。
ニワトリのえさは、大きな一升マスで二階のバアチャンの花畑の前で蒔くのである。
そして声を出して、ニワトリを呼ぶのである。
「トーオッ、トットットットットッ、トーオッ、トットットットットッ、トオッ、トオットオッ!!」と、である。
ジュンジイの嫁のカシクバアチャンの声は、高くて良く透る声だ。
あっちや、こっちの遠くにスペース・アウトしているチキン達も、聞き付けてやって来るのだ。
 主に、えん麦など与えているが、ミミズやら、虫やら、トカゲやら、動くもの、地を這うもの、捕まえられるもの、雑草、貝殻、小石、軽石など何でも食べた。
そうして、生んだタマゴを草むらに放置していくのだ。
彼等は、何処にでも当たりかまわずに、タマゴを生みウンチを落としてゆく。
特に困るのは、靴の中に落とすことだ。
それに気づくのが何時も、靴をはいた後なのだ。
ギョッ!! 気持悪い温かさが足の裏を通って駆け回り、身体中がウンチになる。
三馬印のゴムの短靴を洗うボクに「また、爆弾落とされたな」ハルオジの笑い声が、通り過ぎる。
 此処の鳥肉は味が良く、タマゴもデカイ。
近所の農家の人たちからも人気がある。
 このニワトリ達を守っているのが、チキン・ジョージである。
ニワトリ達も世代交代で、他の農場の若鳥達が次々と跡目争いで勝ち進んでゆく。
沢山の若頭が、親分に成り上がってきた。
力を持て余している若いオンドリ達は、次々と強いジョージに、挑戦してきたのだ。
ところが、どっこい!!ジョージは、次から次と挑んでくる、各農場のオンドリ達をバッサバッサと蹴散らしていった。
 そして、最後の戦いは、最有力候補と目されていた、カーネル・サンダース・ファームのケン太だ。
そのニューリーダーのケン太は、ロードアイランド・レッドと野生化した、白色レグホーンのハーフだ。
メリケン・イングリでカッコよく鳴いて時を告げ、一躍メンドリ達のアイドルとなった若鳥である。
 だが、しかしである。
武勇の誉れ高き、真剣無刀鳥の免許皆伝、叉の名を大奥のトリ将軍、チキン・ジョージ!!
もう誰も、あの鳥を止められない!!
所詮、ジョージにとっては、ケン太も、ヒヨコに、毛の生えたチキンだから、そいつも簡単にイナシテしまったのだ。
 結局、ケトベツ中の、メンドリはジョージの居るジュンジイの農場に、引っ越しを、はじめたのである。
自ら望んだ訳でもないが、大勝利をおさめた、ジョージのもとに、敗者傘下のメンドリ達が次々と強いリーダーの庇護のもとに、やって来たのだった。
 農場主のジュンジイは、大喜びであったか? ん? そんな訳ないのだ。
飼っていたメン鳥が居なくなったケトベツ中の農園では、ジョージの素晴らしいファイティング・スピリッツなど、大迷惑なのである。
隣近所から、ジュンジイやハルオジやカシクバアチャンにも、怒りコールが翔んでくるのである。
特に、サンダース・ファームのカーネル軍曹は、進駐軍のマッカーサー将軍の遠い遠い親戚だという噂だ、おまけに、村の顔役だ。
彼は、一番多くのメンドリをジョージに取られてしまい、この怒りは収まらない。
家宝のケンタッキー銃を持ってジュンジイの農場へ、メリケン払い下げウイリスジープで殴り込みをかけたのであった。

 結局チキン・ジョージがいる限り、この状況は変わらないのである。
ジュンジイは、決断したのであった。
 憐れな、トリ将軍は、トリ鍋になったのである。
ジョージは、最後の最後まで意地を見せた。
研ぎあがったマサカリが、ハルオジの手で振り降ろされる。
「許せ、勇敢なオンドリよ!!」 ジョージの首が宙を舞う。
その時、ジョージの足を縛っていた縄が解けた。
首の無いトリ将軍は、羽ばたきしながらバサッ!!バサバサバサッ!!とジャガ芋畑をメチャクチャに走り回り、ついにはこと切れた。
次の瞬間、天地も裂けよと、スザマジイ閃光と雷音!!ああ!!天も涙を流しニワトリの勇者の死を悲しんだのであった。
そして、その日夜が明けるまで雨は上がらなかった。

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